令和四壬寅(みずのえとら) 歳 の宗実家元の新年御好みの茶碗のご案内を申し上げます。
この度は遠州志戸呂利陶窯 二代 青嶋利陶氏作の青瓷(せいじ)茶碗となります。 御家元ご指導により利陶氏がはじめて青瓷に取り組みました。
形は端反となっており内側は青瓷の二重貫入( 氷裂貫入:ひょうれつかんにゅう )の釉薬で、 外側には令和四年の御題「窓」に因んで四角窓の象嵌( ぞうがん )がございます。 見事な青瓷の釉薬の発色が窓から見える雨過晴天の清々しい青空を 表現しております。 正に新境地の窓を開いたとも言える新たな創意工夫を重ねた「綺麗さび」の精神が息づく茶碗となっております。
青瓷は志戸呂焼と同じく鉄分の発色による焼き物ですが、見た目がまったく異なるように素地の作り、釉薬の厚み、焼成の方法等が全く異なります。
志戸呂焼とは対照的な釉薬の変化や美しさに興味を持ち、十数年前から少しずつ試作を試みていましたが、なかなか思ったような結果が得られず苦労はしましたが、この度御家元のご指導もいただきようやくお披露目のできる形となりました。
このお茶碗は内側に深い青味の釉薬と、外側は象嵌の文様が目立つように透明度のある異なった釉薬を掛け分けております。
素地は極薄く挽きますが厚みのある釉薬で青い色を出すため、手取りはしっかりした重厚感があります。是非一度お手に取ってご覧いただければ幸いです。
青嶋利陶