大切に扱われてきた茶道具は、それにふさわしい最高級の裂でつくった仕覆に包まれて、いまに伝わります。
中国をはじめ海外から舶載された「金襴」「緞子」「間道」などの名物裂や、更紗などの珍しい染織品でつくられた仕覆などの付属品(次第)は、本体の茶道具と同様に茶人たちの鑑賞の対象になってきました。
遠州の見出した茶入、中興名物の高取大海茶入に添う仕覆は、中国・明時代の金襴や名物裂の清水裂製。内箱の仕覆は異国情緒漂うビロードです。利休物相(もつそう)の、趣の異なる裂でつくられた五つの仕覆からは、伝来の歴史を思うことができます。江戸時代の紅毛貿易等でもたらされたインド製の古渡り更紗の風呂敷は現在も現役で用いられています。
江戸時代後半から明治時代を通じて流行した煎茶の道具には、さまざまなデザインの更紗が用いられ、鮮やかな色と美しいデザインが茶人を魅了しました。「次第」にも最高級のものを使った茶人たちの美意識を堪能できる展覧会です。
静嘉堂文庫美術館
東京都世田谷区岡本2-23-1
電話03-5777-8600
開館時間:10:00~16:30(入館は16:00まで)
休館日:月曜日
※ただし、11月4日は開館、11月5日は休館
http://www.seikado.or.jp/